2016年2月1日月曜日

彼との出会い


彼との出会いは実は随分と古い。ここのマンションの前で昼間から自転車を乗っていた。
その自転車は競技用の自転車らしく、それを器用に乗りこなし汗を流していた。
東京では気軽に他人と挨拶することも話すことも少ない。私はそのよそよそしさが心地よくない。
だから彼に「冷たいものでもどう?」と声をかけた。すると彼も警戒することもなく四階まで駆け上がって来た。
以前から挨拶程度はしていたかもしれないが、親しく話したのはその時が初めてだったかもしれない。
端正な顔立ちと関西育ちの人懐こさと逞しさで、よそよそしい東京で彼も奮闘していたのだ。
その彼が音信不通になったのはな何年前だったろうか。
 色々あるのが人生だし、停滞した経済と生きにくい時代だから無理もないと思 っていた。
ある日その彼がワイン3本と紹興酒1本もって突然現れたのは一昨年のことだったろうか。
経緯はココでは触れないが、元気な彼に再会できたのがとても嬉しかった。
朝まで飲もうと言いたいぐらい嬉しかった。しかし、彼は遺伝的に下戸だったから飲むことはできなかったのだが、
それくらい嬉しかたのだ。

それは長く生きていると親しくしていた者との別れは多くなってくる。
仲違い、疎遠、死別など理由は色々ある。あの時会ったのが最後だったのかと後で知ることも多い。
私はヒトとの出会いには理由があるものと考えている。それはお互いにとって何かしらの意味をもって出会うのだと。
だから出会った相手とは一生懸命付きあおうと思っている。これが最後だとしてもいいように。

                                                                                    YN