群馬県にある「上州湯の湖」とも呼ばれる
この濁ったエメラルドグリーンの湖は,
品木ダムによってできた人造湖です.
品木ダムは地味なダムですが,
日本のダムの歴史においては非常に重要な意味を持つ場所なのです.
有名な草津温泉を経てこのダムへ流れる湯川は,
草津白根山という火山を水源とします.
この白根山から出る火山ガスによってこの湯川は非常に強い酸性を示します.
どれくらい強いかというと,pHが2前後なのです.
あら,びっくり!・・・といっても,ピンと来ませんよね.
pHが2.0というと,皆さんの胃酸くらいの酸性度です.
そんな水が流れるこの川はもちろん生き物も住まず,
コンクリートが溶けてしまうため構造物も造れませんでした.
それを解決したのが1964年にできたこの品木ダムです.
強酸性の川に石灰を流し入れて中和し,湖に沈殿物をためているのです.
(水力発電も行っています.)
これは世界初の河川中和事業の成功でした.
世界初を成し遂げたかつてのニッポンのエンジニア達に思いを馳せつつ.
A. Saeki